2020.03.31

14年前、野洲の「高校サッカー史上
最も美しいゴール」が証明したもの

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 四中工は野洲対策として入念な準備をし、ボールホルダーに素早いプレスを敢行。鍛え抜かれた選手たちの圧力を受けた野洲は、苦戦を強いられていた。

 スコアは後半20分を過ぎて1-1。野洲はトップ下の平原と青木のホットラインでチャンスはつくるものの、勝ち越しには至らなかった。

 試合に途中出場する瀧川に対し、ベンチからの指示は「相手のプレスが速いので、ダイレクトで裏のスペースに出せ」というものだった。

「(当時の野洲高コーチ)岩谷(篤人)さんからは『後ろからボールが来たら、とりあえずダイレクトでサイドに出せ』と言われてピッチに入りました。それぐらいのタイミングで出さないと、今日の相手は無理やと」

 瀧川は指示に忠実にプレーした。後半26分には、ピッチ中央の位置から左サイドへダイレクトでパス。乾がドリブルを開始し、倒されて得たフリーキックを金本がねじ込み、勝ち越しに成功した。瀧川はベンチの指示どおりのプレーで、ゴールのきっかけをつくった。隠れたファインプレーだった。

 四中工相手に3-2の接戦を制すると、3回戦は高松商業に4-0で圧勝。PK戦の末に大阪朝鮮高校に勝利した準々決勝では、瀧川は0-1のビハインドから同点に追いつくゴールを決めた。左サイドで乾が平原との鮮やかなワンツーで抜け出し、ゴール前にシュート性のボールを送る。これに瀧川が反応し、滑り込みながら押し込んだ。