中村憲剛「自分を引き上げてくれた」と感謝。
ジュニーニョは川崎の太陽だった

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO


また、エースとして君臨してきたジュニーニョの背中を見ていたのが、2010年に川崎へと加入した小林悠である。小林もまたジュニーニョから、「いつもオレを見ておけって言われていた」と話してくれたことがある。

 前述したように、ジュニーニョはストライカーとして体格に恵まれていたとは言いがたい。小林も同様である。そうしたなか、身体の使い方などを工夫し、前を向ける状況を作り出していたジュニーニョのプレーを見て、小林は技術を盗んでいたという。

 何より、ジュニーニョからもらった「チームが苦しい時にゴールを決められるストライカーになれ」という言葉は、小林の心に強く刻まれた。

 ジュニーニョのゴールを思い起こせば、チームが苦しい時に活路を開き、ゴールという結果で歓喜をもたらした。小林もジュニーニョの背中を追いかけ、その精神を見習ったからこそ、今日までの頼もしさへとつながったのだろう。

 ジュニーニョが川崎のホームである等々力陸上競技場で最後にプレーした2011年11月26日の横浜FM戦(J1第33節)。77分にジュニーニョが決めたゴールは、今振り返ると、まさに川崎の過去と未来を結んでいるかのようでもあった。

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