ピクシーの記憶に残るプレーの数々。
そのどれもが美しく遊び心があった

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO


 相手DFふたりと対峙しながら間合いを計り、その間を軽やかに突破してファーサイドに叩き込んだ京都パープルサンガ戦でのゴール。

 3度のキックフェイントでGKとふたりのDFをピッチに這わせたサンフレッチェ広島との天皇杯決勝でのゴール。

 ディフェンスラインの裏に飛び出してスルーパスを受け、GKまでかわしてゴールポストのそばにボールをチョンと置いたアビスパ福岡戦でのゴール。

 ストイコビッチのプレーはどれもが美しく、遊び心に満ちていた。だから、記憶にしっかり刻まれ、そのすごさを今なお語り合うことができる。

 個人技もすばらしかったが、真骨頂はチームメイトを輝かせるプレーだろう。4−4−2の1.5列目に入って自由に動き、決定的なチャンスを演出し続けた。

 95年シーズンにはそれまでリーグ戦で1ゴールしか奪っていなかったアタッカーの岡山哲也が、ストイコビッチのお膳立てでゴールを量産。守備的MFだった中西哲生までもが、ストイコビッチの援護によって立て続けにネットを揺らすようになるのだ。

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