サガン鳥栖の「18歳」が面白い。インサイドハーフとしての才気を見た (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 後半28分、本田は川崎のセンターバックに対し、味方FWを追い越しながら、鋭い出足でプレスをかけている。これで、相手のパスがずれる。抜け目なくパスカットに成功すると、素早く左サイドを走る選手にボールを流す。これは相手に止められるが、こぼれ球を再び拾って、すかさずエリア内で裏を取っていた味方FWへ、浮き球を使ってパスを通した。

 最後は、FWのコントロールがうまくいかず、決定機には至らなかったが、本田の守備から攻撃の切り替えの鋭さは、出色だった。

 一連のプレーは、判断が迅速かつ、連続性があり、途切れていない。攻守両面で集中力を失わず、頭の回転が速く、アイデアにあふれ、何より、敵ゴールに向かって行動できていた。どれも、インサイドハーフに必要な資質だ。

「(本田は)ユースで、トップの練習に参加しているときから、印象に残る選手でしたね。インサイドハーフとして、適性のある選手だと思いますよ。(鳥栖ユースから4-3-3で)ずっとやってきて、経験値もあるので。このシステムの体現者だと思います」(鳥栖・小林祐三)

 インサイドハーフというポジションで成功を収めた日本人選手は、過去に皆無に近い。極めて高度な技術と戦術を必要とするからだろう。トップ下のひらめきと得点力、プレーメーカーのビジョンと正確性、ボランチの守備力や、味方を補完するポジションセンスが同時に求められる。

 そもそも、4-3-3が難易度の高いシステムで、バルセロナ、マンチェスター・シティ、リバプールなど相当能力の高い選手をそろえたチームでなければ成り立たない。

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