手練れの業師、石原直樹。古巣・湘南に復帰のベテランが伝えたい経験 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 システムは昨季までの3-4-3から、3-5-2に変化。中盤の3人の並びは逆三角形で、アンカーにサガン鳥栖から加わった福田晃斗、インサイドの右に齊藤未月、左に山田直輝が並ぶ。ミッドフィールドのバトルだけでなく、パスワークも重視していることがわかる布陣だ。

 その意味で、前線の石原とタリクの存在はとても興味深い。前者が172センチ66キロ、後者が173センチ64キロとどちらも上背はない(奇しくもほぼ同じサイズだ)。しかし、ふたりともボールを引き出す動きや囮になる所作、敵との駆け引きに長けている。地上戦をより重んじ始めた新しいベルマーレにとって、ポゼッションを高めうるスキルフルな2トップの存在は頼りになる。

 もとより開幕戦で見せたように、空中戦でゴールを陥れることもできる。あうんの呼吸で間をつくり、絶妙のポジショニングとタイミングで急所を突き、マーカーとの身長差など一瞬で無にしてしまう。

 湘南のJ1での過去2シーズンの最多得点者は、2018年は菊地俊介で7得点、2019年は武富孝介と山崎凌吾で5得点だった。でも石原には二ケタ得点の可能性がある。過去の実績だけでなく、35歳で迎えた開幕戦でのキレある動きが、その思いを強くさせる。ケガさえなければ、きっと。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る