酒井高徳が優勝から抱いた危機感。「想像とは違う感情が生まれた」 (5ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

「自分も、チームも、もっとやらなきゃいけないとは思います。でもたとえば、今年最初の公式戦のゼロックスに勝ったとか、ACLの初戦を勝てたという事実が、今はすごくチームにプラスの影響をもたらしています。

 考えてみれば、昨年の終盤のリーグ3連勝から数えると、8試合すべてに勝利しているわけで、そのなかで芽生えた"勝ち"への貪欲さとか、『これだけやれば、結果は出るんだ』という自信が、チームに染み込んでいっている感があるのもすごくいい。

 誰もサボらないで守備をしているし、誰も手を抜かないで、今のこの時期に全力を出し切って、目の前の試合に臨んでいる。それによって生まれている"勝ち"は、今後もチームをいい方向に走らせていってくれるんじゃないかと思う。

 ただ、もっと、もっと、です。このチームは、まだ何も手に入れていないし、何も成し遂げていない。だからこそ、もっとよくなろうぜ、というふうに、仲間に満足させない役割を、自分がしなければいけないとも思っています」

 あとは、そうして今、少しずつ積み上げている力を、昨年のように浮き沈みなく、年間を通した確固たる強さとして示していけるか。それが実現できた時、ヴィッセルのユニフォームの胸に刻まれし"星"は、間違いなくその数を増やしているはずだ。

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