酒井高徳が優勝から抱いた危機感。「想像とは違う感情が生まれた」

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

ヴィッセル神戸インタビュー特集(6)
DF酒井高徳

 新シーズンを迎えるにあたり、ヴィッセル神戸の酒井高徳は、大きな危機感を抱いていた。

 それは、天皇杯で優勝した瞬間から、自身に芽生えたものだという。クラブにとっても、酒井自身にとっても、初めての"タイトル"は、予想とは違う重みを持っていた。

「当然、カップを掲げた瞬間はすごくうれしかったし、プロとして、毎日積み上げてきたものをタイトルに結実させられたこと、自分のサッカー人生にその一瞬を刻めたことは、すごくうれしかったです。『サッカーをやってきてよかったな』とも思いました。また、ここに来た時から、きっかけさえあれば、『ヴィッセルは強くなれる』と思っていたので、そのきっかけのひとつになった気もしています。

 ただ、目指すところは天皇杯優勝ではなく、"アジアナンバーワンクラブ"です。それを見据えればこそ、優勝と同時に、想像とは違う感情が生まれました。もっとホッとするのかと思っていたのに、逆に身が引き締まるような感覚を覚えたというか......これは、タイトルを獲る喜びを知ったことで、次のタイトルが欲しくなったからだと思います。

 そのおかげで、オフシーズンの間も、昨年の戦いで感じた課題が蘇ってきて、『あの部分を突き詰めよう』『開幕まで、あと〇〇日しかない』ってことばかり考えていました。それはある意味、今までのサッカー人生で感じたことのなかったモチベーション、ワクワク感でした」

かつてないほどのモチベーションで今季に臨んでいる酒井高徳かつてないほどのモチベーションで今季に臨んでいる酒井高徳

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