レノファ山口経由J1行き。個人昇格続出の「霜田塾」の実態 (5ページ目)

  • 鈴木智之●文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by AFLO

 筆者は以前、霜田監督に何度かロングインタビューをさせてもらったことがある。その際、こう話していた。

「選手を獲得するときに伝えるのは『レノファに来れば、サッカーがうまくなるぞ』ということです。サッカー選手であれば、何歳になってももっとうまくなりたいという気持ちを持っています。うまくなるためには日々のトレーニングの質が重要で、私はそこに自信を持っています。シーズンが終わった時に、選手自身に『サッカー選手として、充実した1年を送ることができた』と言ってもらえるような努力を最大限すると約束しています」

 選手を成長させるためにビジョンを提示し、トレーニングを通じて成長させることができるのが、霜田監督の力である。日本代表の技術委員長時代には3人の名将に学び、ベルギーのシント・トロイデンでは外国人選手と接することで、コミュニケーションの重要性を再確認するとともに、戦術的で情熱的、攻撃的な、フットボールの醍醐味を濃縮したスタイルを追求してきた。

 世界のサッカーから常に学ぶ指揮官のもと、サッカーの原理原則を身につけた選手たちが、能力を少しずつ伸ばしていく。その成果が、類を見ない個人昇格の多さなのだろう。

 とはいえ、チームの目標はJ1昇格であることに変わりはない。三幸、前といった主力が抜けた穴は大きいが、霜田体制3年目となる今季はどのようなチームがつくられるのか。そして、新たな選手の台頭はあるのか。楽しみは尽きない。

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