ヴィッセル神戸、ゼロックス杯初優勝。新戦力躍動も今季の課題が表出 (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato


「マリノスのほうが、プレスをはがす技術だったり、やり方がうまかった」

 神戸だけでなく横浜FMも、ハイプレス・ハイラインが戦術の肝となる。ただ、横浜FMのハイプレスをかいくぐれずラインの裏を狙うフィードを多用した神戸に対し、横浜FMは神戸のプレッシャーを恐れずに、つなぐ意識を保っていた。

 プレスをはがされ、ピンチを招いた後半の展開は、体力低下だけに原因があるわけではない。攻撃のクオリティの差が表われたものでもあったのだ。

 ハイプレスを仕掛ければ、そのぶん、後方のリスクマネジメントが求められる。その甘さを突かれて失点したという意味では、リーグ王者に力の差を見せつけられた試合でもあった。

 もちろんPK勝ちとはいえ、王者相手に結果を手にしたことは、来るべくシーズンへ向けて弾みのつくものとなったはずだ。一方で90分を通じての安定感が足りなかったのも事実。また、年齢層の高いチームがシーズンを通してハイプレスを続けられるかにも、疑問符がつく。

 期待を抱かせた前半と、不安を感じさせた後半。2020シーズンの神戸は、果たしてどちらの表情を見せるだろうか。

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