ヴィッセル神戸、ゼロックス杯初優勝。新戦力躍動も今季の課題が表出 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato


 トルステン・フィンク監督も、その戦いに手応えを掴んだ様子だった。

 ただ、神戸が主導権を握れたのは前半だけだった。1点リードで迎えた後半に入ると、ギアを上げた横浜FMの攻撃に防戦一方の展開に陥った。

 プレスをはがされ、縦パスを簡単に通され、サイドチェンジ一本でピンチを招くなど、もろさを露呈した。とりわけ、大きくサイドに揺さぶられて相手FWにエリア内に簡単に侵入された73分の失点場面は、あまりにもお粗末だった。

 エクスキューズはある。神戸は元日まで天皇杯を戦ったために、準備期間があまりにも足りなかった。

「90分やったのは今日が初めて。チームとして動けていないという印象がありました」

 守護神の飯倉大樹が明かしたように、実戦不足の影響から、神戸には90分戦える体力が備わっていなかったのだ。ゆえに、後半の失速は致し方ない面もある。狙っていたハイプレスがかからなければ、押し込まれるのは必然だった。

 もっとも、山口は「簡単な失点が多すぎる」と苦言を呈した。そこには横浜FMと同じ攻撃スタイルを標榜するチームとしての自負があったかもしれない。

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