今季の鹿島アントラーズに福田正博が注目する理由「新監督に期待」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 ただし、新しいスタイルを取り入れる場合、1年目からすんなりと結果が出るものではない。それは、横浜FMの例を見ればわかりやすい。

 横浜FMは、アンジェ・ポステコグルー監督就任1年目の2018年に極端なハイラインを取ったことで守備陣が不安定になって苦しんだ。しかし、2年目の昨シーズンは攻守のバランスが取れて優勝。注目すべきは、攻撃に比重を置くことで守備が限界点に達することを2018シーズンに選手たちが経験したこと。1年目に極端なまでに攻撃的なスタイルを徹底したことがいい方向に作用し、翌年、選手たちがバランスを取ることができたと言えるだろう。

 新しいスタイルを取り入れることは容易ではない。それを理解したうえで、鹿島は先を見越して新体制でのスタートを決断したはず。横浜FMは1シーズンの忍耐が翌年に実を結んだが、スピード感が求められるサッカー界にあって、結果が伴わないときにどこまで我慢できるのか。そこも試されることになるだろう。

 鹿島には今季から新たに東京五輪世代の杉岡大輝(湘南)、名古屋で中盤でもサイドバックでもプレーして存在感を示した和泉竜司、川崎でリーグ優勝経験のあるCB奈良竜樹らが加入した。

 ここ数シーズンは終盤の息切れでタイトルを逃してきた鹿島だが、新体制ではどんなチームになっていくのか。新指揮官のもと、新戦力を含めた選手たちがフィットしたとき、リーグ屈指の名門がそのタイトル数をさらに伸ばしていくのか注目したい。

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