カズのすごさを福田正博が実感「52歳で現役。同級生とは思えない」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO SPORT

 50歳を過ぎた今も、少年のように目をキラキラさせながら、「もっとうまくなりたい」と練習を積み重ねている。グアムでアンドレス・イニエスタのプレーについても語り合ったが、私は「イニエスタのプレーのよさをどうやって子どもたちに伝えるか」を考えていたのに対して、カズは「どうすればそのプレーを自分もできるようになるか」を思案していた。つまり、プレーヤーとして自分がどうするべきかを常に考えていて、その向上心はブラジル留学もした子どもの頃からまったく衰えていない。本当にすごいことだと思う。

 派手なパフォーマンスに注目が集まりがちだが、サッカーに向き合うカズの姿勢は謙虚で、素直で、人の話にきちんと耳を傾ける。だからこそ、この年齢になってもなお現役選手としてプレーできているのだろう。

 今シーズン、13年ぶりのJ1に挑む横浜FCは、開幕戦をアウェーでヴィッセル神戸と対戦する。カズが出場すれば、トップリーグでプレーした最高年齢の記録を塗り替えていくことになる。昨年は故障の影響もあって3試合の出場にとどまったが、今季はそれ以上にピッチでの姿を見られるはずだ。

 話題性という点で、カズの存在に優るものはないが、チームにとっては難しい判断を迫られる局面もあるだろう。とりわけ、下平隆弘監督にとって、カズ起用が悩みのタネになる可能性はある。

 たとえば、昨年のJ2最終節の愛媛FC戦、2点リードで迎えた試合終盤の87分にカズが途中出場した。しかし、試合内容を振り返れば、2点差がついた状況になっても、愛媛FCには試合をひっくり返すだけのパワーがあった。サッカーにおいて2点差はセーフティリードではなく、5分も経たないうちに2点を獲られる展開はこれまで無数にあった。そのため、3点差がつけばベンチは動きやすくなるが、2点差のままでは様子を見ることも多い。

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