シマオ・マテが語る日本人の可能性。「自分の能力を信じたほうがいい」 (2ページ目)

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「アフリカには現在も、大きなポテンシャルを宿す選手がたくさんいるんだ。ヨーロッパのクラブはずいぶん前にそれに気づき、アフリカのさまざまな場所にスクールをつくったり、現地のクラブと提携を結んだりしている。モザンビークやアンゴラといったポルトガル語圏では、主にポルトガルのクラブがそうした活動を展開しているよね。ベンフィカやスポルティング、ポルトといった名門を筆頭に。

 だから日本からも、同じようなことをするクラブや人が現れるといいと思う。地理的に遠く離れたアフリカが、もっと身近になると思うんだ。それは将来的に、日本のクラブやリーグの利益につながるはずだよ。最初は当然、リスクがあると思うけど、いずれよかったと思える日が来るんじゃないかな。Jリーグには南米、とくにブラジル出身の外国籍選手が多いけど、反対側の大陸にも目を向けてくれるようになればいいな」

 では、もし縁があって日本行きの可能性を検討している外国籍選手に、シマオはどんな言葉をかけようとするのか。

「とにかく、おいでよ」と言ってシマオはまた声を出して笑った。

「ここには質の高い生活とサッカーがある。何も不自由のない安全な日々と、競争力が高くやりがいのあるリーグ、そしてプロフェッショナルなクラブとチームメイト、たくさんのすばらしいファン......。これ以上に、何が必要だと言うんだい?(笑)。もし迷っているのなら、すぐに決断して、ここでハードワークを続けたほうがいい。ピッチ上で存在価値を証明すれば、サポーターはさらにリスペクトしてくれるよ。このメッセージが本当に届けばいいんだけど」

 それはシマオ自身が経験したことでもある。1年目の序盤戦はやや適応に苦しんだものの、6月以降は完全にチームの主軸になった。ただし本人は、まだまだ日本のことを知りたいと言う。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る