浦和レッズ・杉本健勇が爆発の予感。
システム変更と心身変化で復活する

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Behrouz MEHRI/AFP

 沖縄キャンプでは、杉本が他の選手とよく話している姿が目についた。若い選手をはじめ、多くの選手と積極的に意見を交換し、プレーで絡む周囲の選手たちには、自らの動きや、自らが求めるものなどをきちんと伝えていった。

「今年は(周りとも)いろいろとコミュニケーションをとって、話し合ってやっているので、昨年とは違う自分を見せられると思いますし、結果を出す自信もあります。

 ゴールは、何かきっかけがあって、気持ちが乗っていけば、立て続けに取れるようになると思うんですよ。セレッソで22点取った時も、開幕から6試合は点が取れなかったけど、"大阪ダービー"でゴールを決めてから一気に乗って、点が取れるようになった。FWって、そういうもんやと思うし、そうして結果を出せば、(周囲から)どんどんボールも出てくると思うんです」

 FWのメンタルは、他のポジションの選手とは異なる。ゴールを決めることが自信となり、その後のプレーを飛躍的に向上させる。1点と自信がサンドイッチ状態となり、やがて手をつけられなくなる。2017年シーズンの杉本は、まさにそうだった。

「このままじゃ、終われないんで。今年は自分を出して、結果を残し、昨年の評価を覆さないといけない。そのためには、毎年狙っているけど、今年はノルマとして、ゴールをふた桁は取らないといけない。爆発しないと(笑)。その感覚は、まだ自分の中に残っているので、今シーズンはそれを出していきたいと思います」

 昨年のような緊張した面持ちはなく、今年は落ち着いた雰囲気で練習に励んでいる杉本。地元の小学生を招いてのサッカー教室では、子どもたちの母親に頼まれて一緒に写真を撮っていた。その後、話を聞こうとすると、ピッチ上を歩く小さな子を目で追いながら「子どもって、かわいいですよね」と言って、柔和な笑顔を見せた。

 移籍2年目。勝負のシーズンとなるが、気負いはない。

「今年は、翔びますよ!」

 昨季の悔しさを糧に、2020年シーズン、杉本が完全復活を遂げる。

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