FC東京がリーグ制覇のために導入した4-3-3システムは成功するか (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 選手たちも、F・マリノスの苦労(2018年シーズンは12位と低迷)を目の当たりにしているだけに、このシステムが簡単ではないことを重々承知している。そのため、練習以外の時間、食事中などにも選手同士でコミュニケーションを取りながら、課題克服への努力を日々積み重ねている。

 それゆえ、高萩は「これから」と強調する。

「まあ、まだ攻守においてのポジショニングとか、誰がどこに行くか(どこのスペースを埋めるか)など、はっきりしていない部分がある。(中盤も)2ボランチよりも(攻撃にかける)人数はいるけど、ひとりが前に出ていったら、(残りの)2人はスライドしたり、ポジションの受け渡しをしたり、それがもっとスムーズにできるようになれば......。今日もいろいろと確認しながらやっていたけど、僕が正解かどうかもわからないので、そこは今後、お互いに話を詰めていくしかないかな、と思っています」

 選手それぞれの連係も大事だが、攻撃や中盤のユニットをどうするか、という問題もある。長谷川監督は「中盤の構成は、概ね頭の中にある」と言っていたが、橋本拳人が故障で出遅れていることを考えれば、どういった組み合わせがベストか、試してみたい形はまだまだある。

 アンカーに高萩が入るのも悪くないが、個人的にはインサイドハーフか、トップ下に彼が入ったほうが、面白いのではないかと思っている。

 たとえばF・マリノスは、マルコス・ジュニオールがトップ下の位置に入って、フラフラとしながら、相手が掴みづらいポジションを取っている。そうして、マルコス・ジュニオールは相手のボランチとセンターバックの間でボールを受け、そこに相手が人数を割いて食いついてくると、空いたスペースに入ってくる仲川輝人らを使って、決定的なシーンを生み出していた。

 高萩に期待したいのは、そうしたプレーだ。サンフレッチェ広島時代には2シャドーの一角を務め、昨季も2ボランチの前目でトップ下に近い位置でプレーしていた高萩なら、マルコス・ジュニオールと同様、敵に的を絞らせないプレーができるはずだ。

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