40歳の守護神・南雄太が振り返る。横浜FC、13年ぶりJ1復帰の舞台裏 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO SPORT

 下平監督はそう繰り返したという。場当たり的でなく、ロジカルに相手の前線のプレスを回避。相手のラインを越えるトレーニングを積んだ。

 すると6月29日、第20節のファジアーノ岡山戦からは破竹の7連勝。一時はプレーオフ圏外にいたが、上位に浮上した。

「7連勝した時くらいから、いいサイクルに入っているな、と思いました。やっていることを選手が信じられるようになった。下さん(下平監督)が言ったことがよく当たるので。それで結果が出ると自信になるし、それで勝って、また自信を深めて。その繰り返しでしたね」

 南はそう言って変化を説明している。

 7連勝後も、横浜FCは10試合負けていない。ただ、5つの引き分けを挟んでおり、勝ち切れない試合も続いた。周囲では不安の声も出たが、昨シーズンを知る守護神は動じていなかった。

「自分は引き分けをポジティブに考えていました」

 南は言う。

「長いシーズン、悪い時期は必ずあるから、悪いなりに勝ち点を取れているのは大きいと思っていました。やっぱり、負けないのは大きい。勝ち点1が最後に重みになってくるはず、と思っていました」

 ただし、第34節のFC岐阜戦でアディショナルタイムに追いつかれたあとは、選手同士でとことん話し合ったと言う。昨シーズンのプレーオフでも、チームは引き分けでも十分な状況にもかかわらず攻めに出て、そのたびにボールを奪われ、攻め込まれた。結果、失点して敗れたのだ。

「(昨シーズンのプレーオフで)高い授業料を払った、と思っていたので、それでやられるのはおかしいと、ジリジリしていました。後ろから見ていると、ボールを持ったら無理に攻めず、動かすだけでもいいのに、と。ただ、前の選手は『シュートまでいきたい』という考えもあったようで、そこでとことん話し合えたのはよかったですね」

 台風の影響で延期になった第37節の京都サンガ戦こそ、連戦を強いられて3-0と大敗したものの、チームは力強く攻勢に出た。その後は5連勝の快進撃。攻守のバランスが改善され、この間の失点はわずか1だった。

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