青森山田は「やり抜く力」が段違い。18年ぶりの選手権連覇へひた走る (2ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「いろんな自由であったり、楽することを、自分たちで排除しながら積み上げてきました。彼らの誠実さや取り組みすべてが、ピッチの中で顕著に出るんです。24時間365日をどうコントロールしていくかを、彼ら自身が考えてできるようになってきた。そんな1年間を過ごしたことによって、こういう戦い方ができるのだと思う」

 昌平高校との準々決勝は、前半で3-0と一方的な展開となった。前半10分には、MF松木玖生が持ち前の技術と身体能力で右サイドを突破してクロスをあげると、MF浦川流輝亜が押し込み、今大会無失点の昌平ゴールをこじ開けた。続く前半19分には、相手のクリアミスをゴール前で拾ったMF後藤健太が決めて2-0。

 前半アディショナルタイムには、MF武田が左サイドに絶妙なパスを送ると、そのままゴール前に駆け上がり、浦川のクロスに頭で合わせて3点目を奪取。初戦で興國、2戦目で國學院久我山といった強豪を破った昌平に対し、ゴールラッシュで試合を決定づけた。

 後半に2点を取られて追い上げられたが、それに関しては昌平の攻撃陣を褒めるべきだろう。後半9分にはエースのMF須藤直輝が決めると、後半35分には途中出場のFW山内太陽が追加点。前回王者であり、今年度の高円宮杯プレミアリーグチャンピオンを相手に3点差をつけられながら、1点差に詰め寄った。

 だが、それ以上は青森山田が持ち堪え、「体を寄せてゴールを隠しながら、ゴールを空けない。ペナルティーエリアに進入させない部分はかなりやってくれた」と黒田監督が振り返るとおり、追加点を許さなかった。

 3点リードしたあとに2点を奪われたが、スコア以上に青森山田の強さが際立った試合だった。守備ではセンターバックの箱崎拓と藤原が常に声を掛け合いながら、相手のキーマンを潰し、サイドハーフの浦川と後藤も、相手ボールの時は忠実にスペースを埋めるポジションをとる。

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