2020.01.06

強い静岡学園が帰ってきた。
キングカズらを輩出した技巧派集団の躍動

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 松村頼みにならないのも今年の強みで、左サイドに位置するMF小山尚紀(3年)の存在も光る。細かいボールタッチから密集を抜け出す技巧派のドリブラーだが、相手をかわして終わりではなく、「自分は攻撃の選手なのでキープするドリブルよりも、ゴールに向かって点を取ることで評価される」と話すとおり、きっちり点に絡めるプレーができるのが特徴だ。

 川口監督も「彼がいいのは、怖がらずに仕掛けられるところ。ミスしたくないからセーフティーな選択をしたり、取られないドリブルをしがちだけど、彼はゴールに向かって点を取るドリブルをしている」と評価する選手で、今大会は初戦から3試合連続でゴールをマーク。中央にも、ふたりを活かす司令塔のMF浅倉廉(3年)や、3列目からの持ち運びが光るMF井堀二昭(3年)がいるのも心強い。

 彼ら攻撃陣がピッチできっちりと力を発揮できるのは、高い競争力によるところが大きい。今大会は出色のパフォーマンスを見せ続ける井堀だが、今季は交代出場がメインで、春先から不動の座を掴んでいたMF藤井皓也(3年)のケガによって、選手権予選からスタメンになった。

 準々決勝でハットトリックを達成し、得点王争いのトップに立つFW岩本悠輝(3年)もエースのFW加納大(2年)がヒザを痛めた影響で状態が万全ではないため、出場機会を掴んでいる選手だ。1年次から、この代のエース格として目されていた小山ですら、夏場はパフォーマンスが上がらなかったため、交代の切り札としての起用が続いていた。「(小山)尚紀と(岩本)悠輝と僕は、これまでスタメンの選手じゃなかった。交代でも絶対にやらなあかんという気持ちで努力してきたのが、今につながっている」(井堀)。

 攻撃と共に守備のよさが目を引くのも今年らしさだ。相手を圧倒するほどボールを握り、攻撃するのが理想のスタイルだが、選手権で勝ち上がるにつれ、相手のプレッシャーは激しくなり、うまくはいかない。そのため、「インターハイ予選から守備のことは選手同士で話をしていたけど、強度をもう少し上げないと上では勝っていけない。今年は前から守備をしようと選手権前から意識している」(松村)と攻撃から守備への速さを徹底して追求しており、ボールを失ったあとの激しいプレスはピカイチだ。