2020.01.02

進化する全日本少年サッカー。
できるチームに怒鳴るコーチはいない

  • 木之下潤●取材・文 text by Kinoshita Jun
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 一つは、二桁得点差がつく試合が一つもなかったことだ。例年ならグループリーグでは大量得点差がつく試合が目につくが、今大会は比較的に拮抗した試合が多かった。もう一つは、人口が少ないエリアのチームもきちんと勝ち点を取っていた点である。

 これはジュニア世代のコーチのレベルが、全体的に上がったことを意味している。

 それを証明するように、ベンチからの怒鳴り声がほとんど聞こえなくなった。毎年、得点差が開くほどコーチのストレスが高まり、ピッチに怒鳴り声が響く試合がいくつかある。しかし、今大会はそういう声が耳に入ってこなかった。確実に日本サッカーが成長した証だ。

 もちろん、なかにはコーチが強めに指示する声がピッチに響く試合もある。

 だがそういうチームの試合は、決まって選手のテンションがコーチの声の数とともに下がっていく。主体的なプレーから安パイなプレーに切り替わり、最悪の場合には指示待ちのプレーになる。

 数は少ないが、そうしたシーンは今大会でもいくつか見られた。そして、そして、その一つがJアカデミーだったことは残念だ。おそらく読者は地域の街クラブを想像しただろうが、Jリーグの下部組織であっても選手のミスが続くと、イライラした感情をそのまま言葉でぶつけてしまうコーチはいる。毎回来ているJFAの視察団も、その現実を受け止めて改善を促してもらいたい。

 とはいえ、ジュニア世代は数年前より随分コーチングスキルが向上している。

 たとえば、優勝したバディーの南雲伸幸監督はハーフタイムに「ファーストアプローチをしっかりして、そこの観察さえしておけば、長いボールなのか、ショートパスなのかはわかるはずだから」と指示を送り、後半の主導権を握るキッカケをつくった。また、ベスト4まで勝ち進んだセンアーノ神戸の大木宏之監督は、常に選手を落ち着かせる声がけをし、プレーに迷う選手を目にすれば具体的なサポートの声をかけていた。