2020.01.02

進化する全日本少年サッカー。
できるチームに怒鳴るコーチはいない

  • 木之下潤●取材・文 text by Kinoshita Jun
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 すると後半3分、白井のドリブル突破から同点ゴールが生まれる。

 一度は中央からの攻めを試みて失敗したが、こぼれ玉を拾い直し、今度はスペースのある右サイド方向へとドリブルを仕掛けた。この強引な突破に柏の守備も後手に回る。白井はペナリティーエリア深くまで切り込むと、グラウンダーの速いボールを中央へと送り込んだ。そこにタイミングよく合わせたのが田中菱。ダイレクトでゴールに流し込み、ネットを揺さぶった。

 この同点ゴールを機に、ペースはバディーに傾いた。

 攻守に主体的なアクションを起こすことで、柏の選手はリアクションでプレーするシーンが目立った。バディーの選手は、個々がその時々でできる最大限のプレーにチャレンジしていた。そんな流れで見せた逆転ゴールが、それを象徴していた。

 自陣のペナルティーエリア内外で2度のスライディングを試みてピンチを切り抜けると、そのこぼれ玉を拾った八里悠太がひとりでボールを前に進めた。1トップとして交代出場した八里のプレーは、今大会でも指折りのベストシーンだった。相手ペナルティーエリア内左サイドまで進入すると、躊躇なくシュートを放った。

 普通なら8割はセンタリングを選択するシーンだ。柏の守備陣もそれを予測し、GKを含めて中央をケアする対応をしていた。だが、結果的に八里のシュートはその裏をかいた。ボールはニアサイドからゴールに吸い込まれる形で、逆転ゴールとなった。

 その後もバディーのペースは続いた。後半17分にコーナーキックで追加点を決めると、そのまま3−1で試合終了のホイッスル。ライトブルーのユニホームに身を包む選手たちは喜びを爆発させた。

 今大会は、昨年の川崎フロンターレの優勝により(※優勝県から翌年は2チーム出場)、神奈川県の第2代表として出場権を得たバディーが優勝し、神奈川のレベルの高さを示す形となった。そこにも通じることだが、上位から下位までのレベル差が縮まったと感じさせられた大会だった。

 その理由として、2つの事実が挙げられる。