野菜も育てる高川学園サッカー部。令和の部活動のスタンダードになるか (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • photo by Morita Masayoshi

「試合に出られるのは11人しかない。そこで、出られない選手も、『俺は高川学園で成長したんだ』と胸を張れる部にしたかったんです。今後、大学サッカーでもデータ分析ができる人材が求められていく。サッカー選手としてだけではなく、サッカーとは別の部分で必要とされる人材も育てていかなければいけないんです。ほかの部署を経験した子も、高校を卒業して社会に出た際に、少しでも役に立てばいい。サッカーにいろんな形で携わって、サッカーを好きでいてくれる子どもが、ひとりでも多くなるのが理想です」

収穫したサツマイモを手に写真に収まる『農業部』の面々収穫したサツマイモを手に写真に収まる『農業部』の面々 現在、部署の数は10個。参加は強制ではないが、部員全員が何らかの部署に所属している。代表的な活動は『農業部』で、グラウンド脇など学校施設の3カ所で畑を耕し、季節ごとの野菜を育てる。

 あくまでメインはサッカー部の活動であるため、あまり手をかけなくても育つ野菜を、収穫のお手伝いをする近隣農家に教えてもらい、選んでいるという。取材をした12月中旬はサツマイモの収穫を終え、新たに玉ねぎを植えたばかり。まだまだ安定供給はできないが、多い時には5000玉もの玉ねぎを収穫できる。

「収穫した野菜をみんなに食べてもらえた時がうれしい。農家さんに専門知識を教えてもらったりするうちにコミュニケーション能力も高くなったと思う」と口にするのは、農業部のリーダーを務めるDF宮内海斗(3年)だ。収穫した野菜は、試合を開催する際などに販売し、部署活動を行なうための資金になるという。

『広報部』の活動は、サッカー部の戦績を部の内外に知ってもらい、より多くの人に応援されるチームにするのが役割だ。月に1回、中学サッカー部や女子サッカーの活動をまとめて、"タカサカ"という新聞を作成し、校内や最寄り駅に張り出している。

 ただつくるだけでなく、どうすれば多くの人に読まれるのか頭を悩ませるのは選手の成長につながる。最初は文字だけの新聞だったが、それでは読まれないため、途中からはスポーツ新聞のレイアウトを参考にし、文字のカラーを変えたり、プレー写真も掲載するようになった。

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