今年の高校サッカー選手権は名門校復権が濃厚。優勝争い筆頭は?

  • 松尾祐希●文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

 また、今大会唯一のU-17ワールドカップ出場組で、右SB畑大雅(3年/湘南入団内定・U-17、U-18日本代表)、Jクラブが注目する左SB植松健斗(3年/U-18日本代表)の攻撃力も生かされ、アタックの破壊力は春先と比べ物にならないほどレベルアップ。

攻撃の破壊力が増した市立船橋。SB畑大雅は持ち前のスピードを生かす攻撃の破壊力が増した市立船橋。SB畑大雅は持ち前のスピードを生かす 課題だった守備陣もCB石田侑資(2年)を中心に安定感を増しており、大量失点を喫する試合が激減した。「精神的支柱の町田が戻ってきたのも大きい。チームとしてこれまでやってきたことが、身になって少しずつ形になってきた」と、波多秀吾監督も手応えは十分。2011年度以来の優勝も射程圏内だ。

 ただ、4強までの道のりで侮れないのは京都橘(京都府)だ。夏のインターハイで4強入りを果たしている古都の強豪校は、前線にタレントを揃えており、大会を制する力はある。機動力に長けたFW梅村脩斗(3年)と屈強なFW梅津倖風(3年)は、今大会注目の2トップ。右サイドに入る期待のアタッカー・FW西野太陽(2年・U-17日本代表)も含め、どこからでも得点が奪える陣容に隙はない。また、夏以降に控え組が力をつけたのもプラスの要素。「交代枠を気にせずに起用できるようになった」と米澤一成監督が自信を見せるように、選手層の拡充で短期決戦向けのチームに仕上がった。

 隣のブロックで力があるのは、世代屈指のドリブラー・MF松村優太(3年/鹿島入団内定・U-18日本代表)がいる静岡学園(静岡県)。また、昨冬ベスト4の尚志(福島県)は負傷でFW染野唯月(3年/鹿島入団内定・U-18日本代表)の不在は痛いが、穴を埋める役者に事欠かない。得点力に長けた10番のFW山内大空(3年)に加え、染野の代役を担う185センチのFW阿部要門(2年)が急成長。準決勝まで勝ち残る可能性は大いにある。

 令和最初の選手権を制するのは、果たしてどこか。プレミアリーグ勢が順当に勝ち上がるのか、それとも新たな王者が誕生するのか。決勝は1月13日。新時代の旗手となるべく、48の代表校が埼玉スタジアム2002を目指す。

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