今年の高校サッカー選手権は名門校復権が濃厚。優勝争い筆頭は? (3ページ目)

  • 松尾祐希●文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

 実際に青森山田は初戦となる2回戦で米子北(鳥取県)と対戦する。昨年までプレミアリーグに所属していた山陰地方屈指の強豪は、伝統の堅守速攻で虎視眈眈と王者撃破を目論む。「初戦にすべてをぶつけられる」と中村真吾監督が話すとおり、したたかに挑んでくるのは必至。大分入団内定で188センチの大型CB高橋祐翔(3年・U-18日本代表)を中心とする守備網をこじ開けられなければ、青森山田はひと泡吹かせられても不思議ではない。

 そこを突破しても、以降も一筋縄ではいかない相手が続く。3回戦では今季夏のインターハイ準優勝の富山第一(富山県)、MF山田真夏斗(3年/松本入団内定)を要する立正大淞南、一昨年の王者・前橋育英(群馬県)、鹿児島の技巧派集団・神村学園のいずれかが待ち構える。ここを突破できても、準々決勝では近年力を付けてきた昌平(埼玉県)や興國(大阪府)、大会屈指の攻撃力を持つ國學院久我山(東京都B)と戦う可能性が高い。

 さらに準決勝も侮れない。トーナメント隣の山はFW晴山岬(3年/町田入団内定・U-18日本代表)、MF谷内田哲平(3年/京都入団内定)に注目が集まる帝京長岡(新潟県)がいる。神奈川県の日大藤沢は、FW西川潤(3年/C大阪入団内定・U-17、U-20日本代表)を擁する夏のインターハイ王者・桐光学園を予選決勝で撃破した。

 青森山田は激戦区を勝ち抜けるのか。連戦の疲労を乗り越えながら状況に応じた戦いを見せることが、ファイナルまで勝ち上がるポイントになるはずだ。

 対する反対のブロックに入った市立船橋は状態がいい。インターハイは予選準決勝で姿を消したが、夏以降は復調。プレミアリーグEASTでは下位に低迷していたが、9月にキャプテンのMF町田雄亮(3年)がケガから戻ると、14節の尚志戦から4連勝を果たした。中盤での素早い攻守の切り替えやボール奪取で、攻守のバランスが改善され、技巧派FW鈴木唯人(3年/清水入団内定・U-18日本代表)もチャンスメークやフィニッシュの役割に専念できるようになった。

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