選手時代に「所詮はJ2」と思った
永井秀樹が監督になり痛感したこと

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(10)

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 2019シーズン途中の7月、前任のギャリー・ジョン・ホワイト監督の退任にともない、急遽、トップチーム監督に就任が決まった永井秀樹。最終的な順位は13位(14勝15負13分)で、東京ヴェルディが目標にしていたJ1昇格プレーオフ圏内に入ることはなかった。

今シーズン就任した「トップチームの監督」について語った永井秀樹今シーズン就任した「トップチームの監督」について語った永井秀樹 しかし、キャプテンに指名した渡辺皓太の移籍(横浜F・マリノス)や主力のケガが相次ぐなか、「常に数的優位を維持し、全員攻撃、全員守備のトータルフットボールで、90分間、ボールを持ち続けて(相手を)圧倒して勝つ」というスタイルを明確に打ち出し、ユース所属の選手など、若手を積極的にトップチームで起用することでチームを活性化させた。

 また、それまで出場機会に恵まれなかった実績あるレアンドロを復活させたり、32歳の小池純輝がキャリアハイの16得点をあげるなど、就任から4カ月間という短い期間ながら、次につながるいくつもの下地を作った。そんな永井に初めてトップチームの監督を任された2019シーズンを2回にわたって振り返ってもらう。

――初のトップチーム監督としてシーズンを終えて、今思うことは何ですか?

 ユースの監督時代も、「ヴェルディの再建に尽力する」という思いでやってきたけど、よりリアルな立場、役割を任されたと受け止めた。シーズン途中での監督交代にも関わらず、選手はみんな前向きに取り組んでくれたし、コーチ、スタッフ含めて、現場は同じ方向に舵を切ってスタートできた。それは本当にありがたかった。

 クラブをよくしていくことは、監督の力だけでは難しい。フロント、現場スタッフ、選手。みんなが心をひとつにする必要がある。「ヴェルディはJ2に居続けていいのか」という危機感と覚悟を持って戦う大切さを、より実感した4カ月間だった。

―― ユース監督時代との違いは?

 ユースの監督時代は、選手の個性をどれだけ伸ばせるか。目先の勝利よりも、個の才能を開花させて、トップチームでも活躍できるようにどう育てるかを考えていた。ユースチームはそんな選手が育つ土壌として、おもしろいサッカーをして、勝利を目指すにはどうすればいいかを四六時中考えていた。トップチームでは、よりたくさんのことが絡んでくるから、チームマネジメントの大切さをより痛感して、海外では監督のことをマネージャーと呼ぶけど、その意味がよくわかった。

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