トーレスが語る日本サッカー。
Jリーグでお気に入りの日本人選手は?

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 そして、現役引退までの1年ほどを過ごしたJリーグにも、彼を悩ませた守備者がいたと言う。

「とくに印象に残っている相手は、浦和レッズの槙野(智章)だね。彼もすごく厄介な相手だった。でも試合が終わると、互いを称え合い、時にはピッチの外でも顔を合わせて、いろんな話をしたよ」

 また、サガン鳥栖に移籍する前からたくさんのJリーグの試合を観ていたというトーレスには、お気に入りの日本人選手もいる。やはりというべきか、それは黄金時代のスペイン代表にも通じる、スキルフルなMFだ。

「川崎フロンターレの中村憲剛。彼のプレーは観ていて楽しいし、飽きないよね。大好きだよ。常に落ち着いて相手のライン間でボールを受け、美しいターンをして、相手の間隙に鋭いパスを通す。そんな選手は、ずっと観ていられるよ」

 またトーレスは日本が誇る10代の特別な才能についても、しっかりと認識している。今まさに彼の母国スペインで研鑽を積んでいる久保建英のことを、次のように語った。

「彼は今、スペインで貴重な経験を積んでいるところだ。間違いなく、大きな才能とポテンシャルを備えているから、それに見合う選手に成長してほしい。彼はとても賢い青年だ。インタビューを見ると、地に足がついていることがよくわかる。それから、バルセロナのアカデミーに何年もいたから、すでにスペインのことはよく知っているはず。

 つまり、彼には成功するための要素がすべて揃っている。だから継続的に試合に出場していけば、その特大の才能が開花していくはずだ。すばらしい未来が待っていると思うよ」

 そして鳥栖のアドバイザーになった今、クラブだけにとどまらず、日本全体の育成について思うところがあるという。トーレスの提言はこうだ。

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