最少失点C大阪が優勝を狙うのに
必要なこと。スペイン人選手に食指?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 後ろでボールを回しながら、サイドへボールを展開し、ボランチへつける――。相手のラインを越えるトレーニングを積み重ね、精度は上がった。詰まったらやり直し、相手の立ち位置を変えたら、自分たちが"地理的な優位"を得ることができた。

 ポジション的優位が浸透して守備は見違えるほど向上したが、一方で、攻撃はまだ発展途上にあるということか。

「今は攻撃と守備の着地点を見つけているところかもしれません」

 水沼は言う。

「まずは守備でいいポジションを取ることで、攻撃になった時に強引さに欠けたところもあります。チャンスと見極めたら、バッと前に出られるか。ダイナミックさというか、そこはもう少しあってもよかったかもしれません。セレッソの選手はみんな走れるし、必ず出せるはずで、そこは課題かなと。でも、ロティーナ監督が持っているオプションを選手が引き出せるはずだし、攻撃も数字で結果が出せると思っています」

 ロティーナ・セレッソは、来シーズンに向けて算段を整える。優勝を狙うには、選手層の厚みが必要になるだろう。今シーズンは清武弘嗣、レアンドロ・デサバト、丸橋祐介のような主力がケガで離脱すると、明らかに戦力はダウンした。戦い方まで変わってしまった。

 そこでチームはすでにスペイン人サイドアタッカー、スペイン人ボランチ、日本人サイドバックに食指を動かしていると言われる。また、FWブルーノ・メンデスを完全移籍で獲得するには高額なだけに、ほかの外国人FWに触手を伸ばす公算が高いだろう。ケガで離脱しているFW都倉賢の復帰も大きな"補強"になるはずだ。

「最後まで気を抜くな!」

 第32節でヴィッセル神戸に敗れたあと、ロティーナは選手たちに檄を飛ばしたという。その結果、連勝を飾ることができた。誰が戦える選手か――。来季に向けて見極めたはずだ。

 2020年シーズン、就任2年目となるスペインの名将の集大成が見られるかもしれない。

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