横浜FMに欠かせなかった2つのピース。特異なスタイルを完成させた (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 また、チアゴ・マルチンスにしても、スピードある走力を生かし、DFラインの背後を広範囲にカバー。たとえスルーパスを通され、相手選手に一度は抜け出されたとしても、俊足の背番号13がボールを追い、力強く体を寄せ、簡単にはゴールを許さなかった。

 チアゴ・マルチンス自身は、「個人的にも努力はしているが、ひとりではなく、チームメイトと一緒にいい仕事ができている」と謙虚に語るが、彼の"個"が際立つシーンは、シーズンを通して少なくなかった。

 Jリーグ全体を見渡しても、これほど出足がよく、キックも正確なGKや、スピードに優れたセンターバックは、ほとんど見当たらない。その意味では、彼らは代えの利かない存在であり、横浜FMがスキのないチームになるため、そして、このスタイルを貫いて優勝するためには、欠かすことのできないピースだったのだ。

 第21節からの3連敗で、一時は首位と勝ち点9差の5位にまで順位を落としながら、終わってみれば、2位に勝ち点6差をつける堂々のJ1制覇。自分たちのサッカーと、それを実現するためのピースがすべてそろった今、横浜FMは怖いくらいに強かった。

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