15年ぶりの戴冠へ。Jリーグ新時代の戦い方を示した横浜F・マリノス (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 主力に外国人選手が多いという状況は、どうしても外国人頼みの印象が強くなり、必ずしも好意的に受け止められない面はあるだろう。実際、これまでには、外国人FWには守備の負担を免除する特権を与え、日本人選手が守って、外国人選手が点を取る。そんな"戦術"を採るチームがあったことも確かだ。

 だが、横浜FMの外国人選手たちは、誰もがチーム戦術を守り、あくまでもチームのピースのひとつとして機能するなかで、それぞれが技術やスピードといった持てる武器を発揮している。マルコス・ジュニオールは「日々、チームとして積み重ねてきたものが結果に出ている」と言い、こう語る。

「(外国人選手が多いが)ブラジル人同士でポジション争いをしているとは思っていない。大事なのは、互いのことを思い、コミュニケーションをとって協力し合うこと。それをやれてきている」

 ただ個人能力が高い外国人選手を集め、その力だけに依存したのでは、長期的なチームの強化という観点からすれば、意味がない。しかし、横浜FMは多くの外国人選手を抱えながら、あくまでも11人の選手がチームとして機能することを最優先している。つまり、外国人枠拡大の有効活用という点で他チームに先んじることで、横浜FMは今季、最高の結果を得ようとしているのである。

 よくも悪くもチームごとの実力差が小さく、開幕前には優勝候補と目されたチームが降格の憂き目に遭う混戦リーグにおいて、いかにコンスタントに結果を残すか。その点において、今季横浜FMが示した戦略は、今のJリーグに一石も二石も投じるものになるのではないかと思う。

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