昨季J1王者、屈辱的な敗北。フロンターレの時代は終焉を迎えたのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio



 相手のカウンターも脅威だっただろう。点を獲りに前がかりになった裏を取られ、次々に速攻を浴びた。衰え知らずのスピードと運動量で、まるで矢のように飛び出していく横浜FMの攻撃を封じる術(すべ)はなく、失点を重ねていく。途中出場のレアンドロ・ダミアンが打点の高いヘッドで一矢を報いたものの、勝機をまるで見出せないまま、タイムアップの笛を聞いた。

「強かったと思います。前線のスピードだったり、チームとしてやることもはっきりしている。今年やった相手のなかでは一番強かったと思います」

 小林悠が肩を落としたように、完敗を認めざるを得ない一戦となった。

 別会場のFC東京が引き分けたことで、目の前で胴上げを見ずに済んだことは唯一の救いだったが、勝ち点を積み上げられなかった川崎は4位から浮上できず。3位以内に与えられるACL出場権の獲得が厳しくなった。

 振り返れば今季の川崎は、開幕から苦しんだ。

 レアンドロ・ダミアンらを獲得し、優勝候補の筆頭に挙げられながらも、開幕4試合勝ちなしと、スタートダッシュに失敗。第5節から15試合負けなしと息を吹き返したかに見えたが、夏場に6戦未勝利と再び苦境に陥ってしまう。終盤に巻き返し、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズと上位対決を制して優勝争いに踏みとどまったが、勢いを加速させる2強との差を埋めることはできなかった。

 敗戦の数はリーグ最少の6。にもかかわらず、今季一度も首位に立つことができなかったのは、リーグ最多の12を数える引き分けの多さが原因だろう。とりわけシーズン前半は、終了間際の失点で勝点を取りこぼす試合が目についた。

 もちろん、2連覇中の王者に対する警戒が強まったのは確かだろう。最多得点・最少失点と"完全優勝"を成し遂げた昨季のような絶対的な強さを示す試合は数えるほどだった。

「守備が踏ん張れなかった試合もあったし、前が点を獲り切れない印象の試合もあった」

 谷口彰悟は今季の戦いをそう振り返った。

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