あまりにもショッキングな敗戦。
それでもレッズの戦いは終わらない

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もちろん、90分間のなかに、浦和のチャンスがなかったわけではない。とくに前半は、立ち上がりの劣勢をしのぐと、徐々に浦和が敵陣に攻め入る回数を増やしていった。

 最大のチャンスは、33分。左サイドに流れたFW興梠慎三が、ドリブル突破で敵陣深くまでえぐり、MF関根貴大のシュートにつなげたシーンだろう。

 だが、たったひとつの好機を取り出して、これが決まっていたら、と嘆くのはフェアな見方ではない。アル・ヒラルには浦和を上回る数のチャンスがあり、それが決まっていれば、もっと一方的なスコアになっていた可能性もある。勝敗に関しては、妥当な結果と認めるしかない。

 第1戦で、アル・ヒラルの強さを実感していた浦和にとって、「(優勝するには)2点が必要だが、1点取れば延長にいける。0-0の時間をいかに長くできるかがカギだった」(岩波)。第2戦はホームゲームだけに、「1-0で延長に入れば、こっちが有利」(鈴木)との計算もあった。

 粘り強く戦って、90分間のどこかで1点を奪う。そのうえで、延長戦も視野に入れての終盤勝負。それが、現実的な狙いだった。

 しかし、公式記録によれば、この試合での浦和のシュート数は4本。後半に限れば、わずかに1本しか打っていない。浦和がこの試合で放った最後のシュートは、後半11分のMFファブリシオのヘディングシュート。つまり、浦和はその後、30分以上にわたり、ゴールを奪うどころか、シュート1本打てていないのである。

 1点を取って延長に持ち込むどころか、0-0で終われれば御の字。それが、実際の試合内容だったのだ。岩波が表情を変えず、淡々と口を開く。

「(2試合合計)180分間戦って、正直に負けを認めないといけない戦いだった」

 とはいえ、J1と合わせた過密日程のなか、浦和はよく決勝まで勝ち上がった。最後は残念な結果になったが、過酷な連戦を乗り越えての3度目の決勝進出は、大いに称えられるべきだろう。

 ただし、浦和の2019年シーズンはこれで終わりではない。

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