広島の最多得点はウイングバック。柏好文が32歳でも右肩上がりの秘訣 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただドリブルで相手を切り裂くだけでなく、フィニッシュにも顔を出す。しかも、試合終盤になっても運動量が落ちることはない。これこそが、柏の強みでもある。

「いつも言うんですけど、調子が悪いとかいいとかがないんですよね。いつも普通。そういうプレーヤーだと自分としては思っている。波がなく、常にハイパフォーマンスを出し続けられることが自分の強みです。

 年齢的にも32歳になって、普通ならば下がってくるところで、さらに成長しているなって感じさせるプレーをしたい。この年齢でも成長できるということを証明したいとも思っているんです。今シーズンは数字でもそれを証明できているので、自信を持ってやっていければいいかなって」

 自身も語るように、32歳になった。ただ、本人の言葉にもあるように、衰えるどころか向上を実感している。

「(フィジカルコーチの)池田誠剛さんからも、普通は30歳を過ぎると下降していくところ、自分はそのピークに達しているにもかかわらずコンディションが上がってきているって、声をかけてもらったんですよね」

 そんな柏に対して、城福浩監督からはこんな要求があったという。

「昨季は4バックでしたけど、今年は(3−4−2−1になって)ウイングバックとしてお前が強みを出せる位置だと言われました。得点も含めて期待しているとも。今シーズンが開幕して間もないころ、『ふたケタ得点、いけるだろう』と言われていたんです」

 チームは勝利から3試合遠ざかっているが、驚異的な数字をマークするウイングバックにかかる期待は大きい。

「今日もそうですけど、引き分けではなく勝ちに持っていかないといけない。チャンスを作れてきているので、チームとして自信を持っていいと思う。ここからさらに上に行くには、どんなに悪い試合でも勝ち切ることが大事になってくる。

 決め切る、仕留めるというところは、セットプレー1発で勝つというのでもいい。経験がある、ないに関係なく、ピッチに立っている選手たちがそれを感じつつ、もっとうまく試合を運ぶことができれば、相手にとってもっとやっかいなチームになれると思います」

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