2019.11.25

最強・仲川輝人。優勝争う3チームで
随一の決め手を持つ横浜FMが奪首

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 その点――決め手があるか否かにおいて、今の横浜FMの力は、優勝を争うチームのなかでも抜きんでていると言っていい。

 その決め手とは、言うまでもなく、FW仲川輝人。彼の決定力は現在、J1最強と評してもいいほどだ。"奪首"を遂げた松本戦で勝負を決めたのも、またしても小柄な背番号23だった。

 キックオフ直後の2分、仲川は右サイドに開き、DF松原健からのパスを高い位置で受けると、中央へ向かってドリブルを始めた。端から突破を狙ったものというより、相手の出方をうかがうような、ゆったりとしたドリブルだった。

 ところが、「松本は(守備にかける)人数が多い分、誰が(ボールへ)いくのか、はっきりしない。マルコス(・ジュニオール)も動き出してくれるので、相手も迷う」と仲川。背番号23がスルスルとペナルティーエリアに近づいていくのに合わせ、FWマルコス・ジュニオールがDFラインの裏を狙って走り出すと、仲川も小さなキックフェイントで、スルーパスをちらつかせる。

 はたして、狙いを定められない松本DFの足が止まった瞬間だった。仲川は目の前に開けたシュートコースを見逃さず、左足をひと振り。ボールはきれいにゴール左スミへ吸い込まれた。

「早い時間だったので、シュートで終わろうかな、と」

 仲川はこともなげに話していたが、開始早々にして松本に引導を渡す、電光石火の一撃だった。

 今季14ゴール目を決めた仲川は、これでJ1得点ランキングでも2位タイに浮上。ポステコグルー監督も「ウイングでありながら、あれだけのゴールを奪える。いいゴールを決めてくれた」と称える快速FWは、チームメイトにしてランキングトップのマルコス・ジュニオールに1ゴール差と迫った。今、Jリーグで最も旬な男は、チームの優勝とともに、自身の得点王獲得も射程圏内に捉えている。

 とはいえ、彼らが目指すものは、チームとしての優勝以外にはない。得点王への最短距離にいるマルコス・ジュニオールも、「チームプレーだけを意識している。チームのためにプレーしたい」と言い、「まだ何も決まっていない。地に足つけて、次の試合に集中することが大事だ」と、気を引き締める。

 チームとしての約束事を最優先に、選手それぞれが自分たちの役割を完遂する。その姿勢が、結果として個々の活躍をも際立たせる。そんな好循環が、今の横浜FMには生まれているようだ。