観戦へのワクワク増に工夫。ガンバ大阪の『パナソニックロード』とは (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by ©GAMBA OSAKA

『パナソニックロード』にある楽しみ

『パナソニックロード』の演出として最初に行なったのが、万博記念公園駅からスタジアムまで徒歩15分とされている推奨ルートへの工夫だ。

 まず、万博記念公園駅の構内では、大阪モノレールの協力を受け、毎試合先着3000名を対象に、試合ごとに掲載選手を変えたトレーディングカードを配布。カードの裏面を使ってパナソニックロードの通行を喚起したうえで、歩みを進めた先にある149段を数える階段の脇には、ガンバ大阪のタイトルの歴史を辿(たど)れる大きな写真パネルを並べた。

『パナソニックロード』に飾られたタイトルの歴史を辿れる写真パネル『パナソニックロード』に飾られたタイトルの歴史を辿れる写真パネル クラブ初のタイトル獲得となった2005年のJ1リーグに始まって、2007年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)、2008年のAFCチャンピオンズリーグなど、その時々の『タイトル』の喜びが表現された、全9枚の集合写真だ。そこには来場者に向けた吉村氏の想いが込められている。

「私も、何度もあの距離を歩いていますが、暑さが厳しい夏場はまさに汗だくで......。来場者の中にも、スタジアムに到着する頃にはシャツが汗でびしょびしょになっている方をたくさん見かけました。

 その様子からも、試合前から観戦意欲を失わせてしまうことになりかねないと思い、少しでも楽しみながら歩ける工夫をしようと写真パネルを作成しました。当時を知っているファンのみなさんには、それらを見て思い出話に花を咲かせていただいたり、知らない方にはガンバの歴史を知ってもらうきっかけになればうれしいです」

 事実、試合前にその前を通る人たちを見ていると、懐かしのメンバーが顔をそろえる集合写真と一緒に写真を撮ったり、当時を思い出してか、足を止めて写真パネルの前で談笑するなど、思い思いにパネルを楽しんでいる様子が目に止まる。

 もっともリピーターに対する目新しさという点では、まだまだ工夫もできるはずだが、公共施設ゆえのさまざまな制限もあるなかで、万博記念公園駅を降りてすぐ、まだスタジアムが視界に入ってこないところから『ガンバ大阪』を楽しめるのは、スタジアムに向かう高揚感を間違いなく後押しすることだろう。

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