想定と真逆の展開。「鹿島らしさ」を発揮したのは川崎だった (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 案の定、62分にセットプレーからあっさりと失点すると、71分にはカウンターから2点目を失った。終盤にも二度決定機を迎えた鹿島だったが、この日は最後まで狂った歯車を修正できなかった。終わってみれば0−2の完敗。川崎に希望を与え、自らは首位の座から滑り落ちた。

「最近のなかでは、ボールの保持・崩し方っていうのはよかったと思うけど、こういう時に勝ちがついてこないっていうのはね。僕らはそういうチームではないので。悪くても勝ってきたチーム。1点獲ってカウンターっていうのは、僕らがやらないといけないこと。それを川崎がやってきた」(内田)

 思い描いたシナリオは、真逆だった。粘り強く耐えしのぎ、少ないチャンスをモノにして、勝利を手にする。つまり、鹿島らしさを発揮したのは、川崎のほうだったのだ。

 大岩剛監督の言葉からも、無念さがにじむ。

「1週間かけて用意してきた展開に持ち込めたんですけど、非常に悔しい試合になった。単純なセットプレーと、自分たちのセットプレーからのカウンター。いつも口酸っぱく言っているところでやられてしまった。ビッグゲームではそういうディテールが重要になると言っているんですけど、そこで失点したのがこの試合を決めてしまったのかと思います」

 プランどおりに試合を進めながら、警戒していた形でやられてしまうのは、どうも鹿島らしくない。

 先制点を決めた山村和也も、敵将である鬼木達監督も、ともに鹿島出身者なのは、あまりにも皮肉なキャスティングである。

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