磐田GKカミンスキーの食卓には和食と餃子が並ぶ。「日本に来て正解」 (2ページ目)

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「服部(年宏強化本部長)さんが興味深いプロジェクトを話してくれたんだ。ジュビロは当時、J2を戦っていたけど、過去には多くのタイトルを獲得した名門クラブで、J1に戻らなければならない。そのために力を貸して欲しいと言われた。ただ、遠く離れた日本のことはあまりイメージできなかったので、3週間ほど考えさせてもらったんだ。

 その間に、アジアのフットボールに詳しい人から、Jリーグのことを聞いたよ。スキルフルな選手が多く、レベルの高いリーグだと彼は言っていたね。それから僕は外国で生活してみたかったんだ。異なる文化に身を置けば、選手としてだけでなく、人間としても成長できるはずだと思うからね。そうだ、トライしてみよう、と決心するに至ったんだ」

 渡日後、カミンスキーはすぐにその選択が間違っていなかったと感じた。クラブはきちんと運営され、スタッフやチームメイト、コーチ陣は新しい仲間を歓迎した。彼らは右も左もわからないポーランド人GKに、ピッチの内外で手を差し伸べてくれたという。

「国外での生活は初めてだったし、しかもそれが欧州とは大きく異なる文化を持つ日本だ。でも周りの人たちが本当に好意的に接してくれるから、何も問題はなかった。クラブと日本に心から感謝しているよ。

 辛いのは、この気候くらいだね(笑)。とくに初めての夏は、かなりきつかった。ポーランドでずっと生活してきた僕には、信じられないほどの蒸し暑さなんだ。徐々に慣れているとはいえ、いまも練習中に顔が真っ赤になってしまうことがあって、よくチームメイトに茶化されているよ」

 磐田に在籍して4年半が過ぎたが、日本の夏の暑さにはまだまだ苦労しているようだ。ただし生活そのものには、もうすっかり慣れたとカミンスキーは話す。とてもうれしそうに。

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