F・マリノス、逆転優勝の重要なカギは「特別な選手」仲川輝人にアリ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 扇原が「ずっとチャンスがあるなかで(それを生かせず)、嫌な展開になりかけていた。すごく助かったし、大きな先制点だった」と振り返った、価値あるゴールである。

 今季J1全試合に先発出場している仲川は、これが今季12点目。J1得点ランキングでも4位タイにつける。

 シーズン前半の横浜FMは、現在J1得点ランキングトップのマルコス・ジュニオール(14ゴール)や、負傷離脱中のFWエジガル・ジュニオ(11ゴール)に、得点という面では依存している感があった。

 ところが、シーズンが後半に入り、横浜FMが首位を猛追するなかでは、仲川が横浜FMの得点力を支えていると言っていい。エジガル・ジュニオの離脱直後は、センターフォワードを任されるなど、「理解力があり、マルコスとうまく連係できる」と指揮官からの信頼も絶大だ。

 第21節からの3連敗で、優勝争いから脱落しかけた横浜FMが、再び息を吹き返し、首位に肉薄するところまで来られたのも、仲川の奮闘によるところが大きい。チームとしてすばらしいサッカーをしていることは大前提としてありつつも、仲川が"特別な選手"であることも認めなければならない。

 しかし、それだけに仲川の負傷が心配される。好事魔多しとはよく言ったものである。

 仲川は試合終盤、ピッチ中央で加速力のあるドリブルを見せた直後、右太もも裏を手で押さえて、自らプレーを止めた。そして、その場に座り込むと、タンカに乗せられ、ピッチから退くこととなった。

 試合後は、言葉少なだったが、自ら歩いて取材エリアを通っていた。それほど足を引きずる様子もなかった。おそらく肉離れだろうが、重篤なものではなさそうに見える。

 とはいえ、筋肉系のケガは試合復帰を焦れば、長引かせる恐れもあり、慎重な対応が不可欠。幸いにして、J1は10月26日にルヴァンカップ決勝が行なわれる関係で、次節まで2週間空くが、仲川が今季J1で初めて欠場となる可能性は十分にあるだろう。

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