「メッシじゃないよ」微笑むチャナティップは日本で大きく成長した (2ページ目)

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「札幌からオファーを受けたのは、自分のパフォーマンスが評価されたからだと思う。それがすごくうれしかった。清水に練習参加したとき、いつかJリーグでプレーしてみたいと思った。ここではきっと、自分が大きく成長できると思ったからね。その願いが叶ったんだ。迷うことなく、すぐに引き受けたよ」

 チャナティップが思い描いていたとおり、日本とJリーグは彼の成長を促した。それは数字にも現れている。途中加入のリーグ1年目は0得点1アシスト、2年目の昨季は8得点2アシスト、今季はここまですでに4得点6アシストだ。

「成長できたのはすべての面だ。とくにミシャ(ミハイロ・ペトロビッチ監督)の指導によって、効果的なポジショニングを取れるようになったし、規律も覚えて守備にも貢献できるようになった。それから、シュートの精度とパワーも上がったね。ミシャのスタイルを簡潔に言うと、チームの全員がスムーズに攻撃するためのやり方。この超攻撃的なフットボールを気に入っているよ。やっている選手も、お客さんも楽しめるものだね」

 ではチャナティップの目には、3シーズン目を迎えるJリーグはどう映っているのだろうか。

「それぞれのチームのクオリティーが高く、ハイレベルに拮抗している。順位表の下にいるチームでも、上位陣に勝つことは珍しくないよね。プレーの内容で際立っているのは、やはり規律面だと思う。誰もが与えられたタスクを遂行し、チームのために力を尽くしている。それから運営側もすごくプロフェッショナルで、ピッチやスタジアムなど、施設はすごくきれいに整えられている。タイやほかのアジア諸国が学ぶべきところだね」

 そんな風に話すチャナティップは、常にリラックスした表情を浮かべている。天真爛漫な26歳のアタッカーは、ときに自信も垣間見せる。これまでに対戦したDFで、もっと手を焼いたのは誰ですかと訊くと、こんな答えが返ってきた。

「(にやりと笑って)ひとりもいないね」

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