ついに首位奪取。誰が出ても勝つ鹿島の強さを象徴するふたつのプレー (2ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 今夏、鈴木優磨(シント・トロイデン)、安部裕葵(バルセロナB)、安西幸輝(ポルティモネンセ)と3人の選手が欧州に移籍。さらに、ここにきてレオ・シルバ、三竿健斗もケガで離脱。駒不足になってもおかしくないところだが、たとえばセンターバックの町田を左サイドバックに起用し、それがしっかり機能する。この試合でもボランチとして初先発の白崎が機能、攻守の要として永木がチームの中心となっていた。誰が出ても同じサッカーができる。それが強いチームの証であり、鹿島の伝統でもある。

 その象徴ともいえるプレーがふたつあった。ひとつは後半42分、浮き球を足で処理しようとした相手選手に、名古が勇気を持って頭から突っ込み、ファウルをもらいマイボールにしたシーン。もうひとつはアディショナル・タイムの92分、上田の落としたボールに体を入れて、相手のファウルを誘った白崎のプレーだ。

 かつて、鹿島の黄金時代を支えた選手たちが、ジーコやレオナルドに口を酸っぱくして言われた言葉がある。

「どんなにリードしていても勝手なプレーはするな。場所、点差、時間帯を考え、チームのためにベストのプレーを選択しろ」

 その伝統は清水エスパルスから移籍して1年目の白崎、順天堂大から加入して2年目の名古にも浸透していた。

 ACL敗退後、「三冠を狙う」と宣言した鹿島。日本代表のW杯アジア2次予選があるためリーグ戦は中断するが、鹿島は9日、13日とルヴァン杯準決勝の川崎フロンターレ戦を控えている。ケガ人続出、ハードスケジュールと、三冠への道のりは簡単ではない。これから鹿島がどんな結果を出すのか注目したい。

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