首位柏が横浜FCに敗れてJ2も混戦だ。J1昇格争いのカギは「粘り」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

「レアンドロを自由にさせるな!」

 この一戦でも、柏はネルシーニョ監督が厳命したという。

 結局、レアンドロはその持ち味をほとんど消された。しかし、自らが封じられる見返りに相手の労力を使わせたとも言える。柏のラインを下げ、能動的なサッカーを発動させず、"自らの影"で振り回した。

 しかし、横浜FCも決め手を欠いている。両サイドに有効なボールが入らず、持ち味のえぐり込むような攻撃が出せない。膠着したまま、後半を過ごした。

 終盤、立て続けに好機をつかんだのは柏だった。CKから、連続してオルンガが高い打点で合わせる。しかしヘディングシュートはゴールの枠に飛ばず、それがひとつの潮目になった。

「後ろはゼロで抑えて、最悪、引き分けでもいいかなって思っていました」(横浜FC・武田英二郎)

 横浜FCは圧力を受けながら、腹をくくっていた。そんな89分、自陣に押し込まれた横浜FCは素早くリスタート。一瞬、柏の対応が遅れたのを見逃さなかった。右サイドを鋭く攻め上がると、マイナスのクロスをエリア内に入れ、シュートまで持ち込んでいる。体ごと投げ出したディフェンスにブロックされたが、初めて完全に崩した形だった。

 その直後、右からのCKをレアンドロが蹴る。中央でイバ、カルフィン・ヨン・ア・ピンがもつれ合うように飛び込む。ボールがこぼれたところに、途中出場の草野侑己がGKとの交錯を恐れずに飛び込み、ヘディングで決めた。結局、これが決勝点になった。

「(飛び込んだシーンに)迷いはなかった」

 そう語る得点者の草野は、リーグ戦は15試合ぶりの出場だった。当日のメンバー入りも微妙な状況で、出番を待っていたラッキーボーイが、天王山で結果を出した。

 これで横浜FCは勝ち点を61に伸ばしている。首位、柏との勝ち点差は8、2位の大宮アルディージャとは2差だ。しかし、上ばかり見ていられない。同じ勝ち点で4位のモンテディオ山形から8位のファジアーノ岡山までが、わずか4ポイント差でひしめき合う状況だ。

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