浦和レッズは強いのか、弱いのか。
はたまた典型的な「外弁慶」なのか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 隙を見せない相手の対策を、いかに上回るのか。それがJリーグにおける浦和のテーマとなる。そしてこの日の浦和は、その難題をクリアしたと言えるだろう。前半終了間際から始まった攻勢は、まさに相手の対策を上回ったことで実現したのだ。

 大槻毅監督は、とりわけ前線(1トップ2シャドー)のポジショニングの変化が奏功したと振り返る。

「(1トップの興梠)慎三が少し孤立するような形で、(2シャドーの)武藤(雄樹)と(長澤)和輝のところがうまく使えていなかったので、その立ち位置を試合中に変えられればいいなと思っていた。前半30分過ぎに慎三と武藤が(ポジションを)変えたり、1列降りてきたりしたことで、ボールが握れるようになったと思っています」

 相手の対策を試合中に見極め、臨機応変に対応していく。隙を見せない相手に対して、能動的に動くことで、隙を生み出していった。その意味で、浦和にとっては会心の一手であり、今後への自信につながる勝利になっただろう。

 残り試合の対戦相手を見ていくと、首位の鹿島をはじめ、FC東京、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島と、上位との戦いが続く。それでも西川は、笑顔で話す。

「こういう順位にいると、下から引き込もうとする力に飲まれてしまいがちですが、自信を持って戦うことができれば問題ない。とにかく、上を目指すだけ。最終的に、『レッズ、意外と上にいるな』という順位で終われればいいですね」

 アジアの頂点とJ1残留をかけた戦いは、果たしていかなるエピローグを描くのか。この1週間で得たふたつの勝利が、浦和にとっての大きなターニングポイントとなるかもしれない。

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