大量失点を教訓にするエスパルス。J1残留へ6得点も油断ゼロだった (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 もっとも、清水の選手たちに油断はない。今季の戦いを振り返れば、決して安定感を備えているわけではないからだ。

 その原因は、失点の多さにある。27試合で58失点はリーグワースト。札幌戦での8失点の影響が大きいとはいえ、4失点以上が6試合もあるのはちょっと普通ではない。いい形で勝ったと思えば、大量失点で敗れてしまう。その浮き沈みの大きい戦いこそが、清水の不安要素となる。

「6-0で勝ったけど、全然強いチームじゃないのは、みんなわかっている」

 そう語るのは、右サイドMFを務める金子翔太だ。

「得たのは勝ち点3に過ぎない。立ち上がりの湘南のチャンスが入っていたら、わからない試合だった。サッカーはほんの少しのことでこういう結果になるのは、0-8で負けた札幌戦から学んだこと。一喜一憂することなく、これからも今日のようなハードワークの意識を持って臨みたい」

 札幌戦の大敗で得た教訓は、清水の選手たちにはっきりと刻まれている。ちょっとした油断やリスクマネジメントの欠如で、大敗は十分に起こり得るのだ。

 6点のリードを奪っても、清水の選手たちは集中力を切らすことなく、湘南の反攻をゼロに封じている。金子だけでなく、エウシーニョも、西澤も、篠田監督も、試合後に喜んだのは、6得点を奪ったことよりも無失点に抑えたことだった。

 よもやのつまずきで方向転換を強いられながらも、屈辱をバネに修正を繰り返してきた。残留に大きく前進したなか、その謙虚な姿勢がさらなる浮上のカギとなるだろう。

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