話題のヴェルディユース出身者。
次なる注目株は17歳のレフティだ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 このところ、東京ヴェルディのタレント輩出力が際立っている。

 今年3月、MF小林祐希(ワースラント=ベフェレン)、MF中島翔哉(ポルト)、DF安西幸輝(ポルティモネンセ)、DF畠中槙之輔(横浜F・マリノス)というヴェルディユース出身の4選手が、そろって日本代表に選ばれたことが話題となったが、彼らは、ユースからトップチームへ昇格→J1クラブへ移籍→日本代表に選出、という歩みで共通する。ヴェルディユースで培ったものをベースに、着実にステップアップを続けているわけだ。畠中以外の3選手は、すでにJ1クラブから海外クラブへの移籍も果たしている。

 また、彼らに続く選手も育ってきており、東京五輪を目指すU-22代表の世代には、MF井上潮音、MF渡辺皓太らがいて、渡辺は昨年のアジア大会で銀メダル獲得に貢献した。さらに、今年のU-20ワールドカップに出場したU-20代表にも、MF藤本寛也が選ばれている。彼ら3人もまた、ヴェルディユース育ちの選手たちである。

 なかでも渡辺は、今年6月のコパ・アメリカで初めてA代表入り。その後、シーズン途中にして、J1で優勝争いを続けている横浜F・マリノスに移籍しており、前出の"A代表カルテット"に続いて、早くも次なるステージへと上り始めている。現在の選手市場において、ヴェルディユース出身者は、ちょっとした注目銘柄になっているのだ。

 もちろん、オールドファンには、ヴェルディのタレント輩出力は今に始まったことではない、との意見があるだろう。

 実際、元A代表選手にして、テレビ解説でお馴染みの松木安太郎、都並敏史両氏は、いずれもヴェルディの前身、読売クラブのユース出身だし、読売からヴェルディへと移り行く過程で、そのユースチームは"天才"と称される逸材を何人も生み出してきた。

 しかしながら、それらは読売やヴェルディが、日本屈指の強豪チームだった時代の話である。言い方は悪いが、現在のヴェルディは、すっかりJ2に定着してしまったチームなのだ。にもかかわらず、これだけの素材をユースチームに集め、育てた選手をトップチームに送り出す育成力は、驚異的ですらある。

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