2m近い世界トップクラスの日本人GKをどう増やす? 福田正博が悩みぬく (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 今年1月に柏U-18からベンフィカ(ポルトガル)へ移籍した小久保玲央ブライアンは191cm。U-16日本代表にも名を連ねた2001年生まれは、まだまだ身長が伸びる可能性は高い。ただ、彼らは高さこそ世界基準にはあるものの、ポジショニングをはじめとする技術を、さらに高めていかなければならない。

 また、骨格を含めた体格のサイズアップは容易でないという事実とともに、日本人GKを育てる場であるJリーグで、日本人GKが定位置を掴むのが困難な状況にあるという問題もある。

 J1を見ると18クラブのうち半分近くで、外国籍GKが守護神としてゴールマウスを守っており、レギュラーとして常時試合に出場している日本人GKはなかなか増えていない。これでは、日本人GKが経験を積むことも難しくなってくる。

 シュミット・ダニエルがシント・トロイデンに移籍したベガルタ仙台には、元ポーランド代表のヤクブ・スウォビィクが加入した。ほかに、カミンスキー(ジュビロ磐田/ポーランド)や、ランゲラック(名古屋グランパス/オーストラリア)もいる。また、韓国籍GKに目を向ければ、パク・イルギュ(横浜F・マリノス)、キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)、チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)、ク・ソンユン(コンサドーレ札幌)、クォン・スンテ(鹿島アントラーズ)が、守護神として存在感を放っている。

 各クラブが外国人GKにゴールマウスを託すのは、GKが勝敗に直結するポジションだからだ。Jリーグのトップチームは育成組織ではない以上、それは致し方のないこととはいえ、日本人GKが国内最高峰リーグで試合経験を積めない現状をどう考えるべきか、悩ましいところだ。

 韓国人GKのJリーグでの活躍の背景を考えてみよう。2009年からキム・ジンヒョンがセレッソでプレーするようになって以来、彼の成功によって韓国代表レベルのGKがこぞってJリーグでプレーするようになった。

 現在のJリーグには先に名前を挙げた選手のほかにも、サガン鳥栖にキム・ミノ、大分トリニータにはムン・キュンゴン、松本山雅にはゴ・ドンミンという韓国籍GKがいる。さらに今夏に蔚山現代に復帰したキム・スンギュ(前ヴィッセル神戸)などもいた。これは、韓国サッカー界が長年にわたってGKの強化に乗り出してきた成果でもある。

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