黄金世代の炎のストライカーが引退。
播戸竜二が印象に残るゴールは?

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by kyodo news

 今もいろんな人に必要とされる人材になるためにいろいろ勉強している。ピッチ上では愚直で感覚派だが、ピッチ外はいい意味で抜け目なく、しっかりと道筋を描き、歩んでいく。近いうちにアッと驚くような報告をしてくれるかもしれない。

 この日、播戸は鳥栖戦をユニフォームを着て、観戦した。

 1-0でガンバが勝利し、「よかったわ」とホッとした表情を見せた。試合後はガンバで同世代の遠藤が播戸の引退を惜しんだ。

「ユース時代から知っているし、ガンバでも代表でも一緒にプレーしたんで寂しい部分はあります。バンは、いつもチームを盛り上げてくれたし、ピッチでがむしゃらにプレーする姿を見せてくれた。まあ、本人はやり切ったと思うし、これからもちょこちょこ会うんで、その時は思い出話でもしたいと思います」

 ちなみに引退セレモニーの時は、橋本英郎、加地亮ら元チームメイトに加え、神戸時代に一緒にプレーし、プロとして大きな影響を受けたカズ(三浦知良)からもメッセージが届いた。多くのサッカー人からも愛された。

 最後、聞きたいことがあった。

 21年間のサッカー人生は?

 播戸は「そうやなぁ」と少し間を置いてこういった。

「やり切ったわ!」

 彼らしい入魂のひと言だった。

 ピッチ外では繊細だが、ピッチ内では両肩をいからせて走り回り、ボールに飛び込み、日本代表の試合ではガーナの選手に蹴られて流血し、テーピングを真っ赤に染めてピッチに戻ってきた。

 誰にも負けへん――その気持ちを貫いた21年間、炎のストライカーだった。

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