黄金世代の炎のストライカーが引退。播戸竜二が印象に残るゴールは? (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by kyodo news

「イタリアが多かったけど、常に何かを学びたいと思って欧州に行っていた。俺らの若い時はなかなか海外には行けない時代やったけど、日本と違う文化の中で本場のサッカーを肌で感じたかった。W杯に出たかったし、J1で優勝したかったのもあるけど、俺は海外でプレーすることがいちばんやりたかったことやね」

 播戸が海外に目を向けていたのは、高いレベルでプレーしたいという選手としての欲求からだが、同時に小野伸二や稲本潤一ら「黄金世代」の仲間たちが海を越えていったからでもある。

「黄金世代」とはナイジェリアでの99年ワールドユースで準優勝を果たし、その後の日本サッカー界に大きな貢献をしてきた播戸と同期の選手たちのことだ。すでに小笠原満男、中田浩二ら多くが引退し、Jリーグでプレーしているのは遠藤保仁、南雄太、稲本潤一、小野伸二、本山雅志の5名だけ。播戸は、いつの時代も「黄金世代」の仲間から刺激を受けてきた。

「ガンバが自分にとって特別なクラブであるように、黄金世代は自分にとって特別な存在やね。みんなに負けたくないと思ってやってきたし、みんなと一緒にサッカーをやりたいと思って頑張ってきた。まだ現役の選手もおるし、これまではピッチ内でサッカー界に貢献してきた。

 でも、これからは引退したみんな、それに今後、引退する選手がピッチ外でいろんなことをしてサッカー界を盛り上げていくことになる。俺も頑張らなって思うよ。満男が朝から晩までアカデミーやユースを見ているというのを聞くと、『満男すげーな』と思うけど、やっぱり負けられへんと思うもん」

 黄金世代の選手たちの進む先も楽しみだが、播戸の今後も気になる。琉球退団後、サッカー界だけではなく、ビジネス界の経営者などに会い、交流関係を広げてきた。

 播戸はピッチ外で何をやろうとしているのだろうか。

「正直、先はまだ見えへん。ただ監督とかコーチの現場はないかなと思う。それよりもクラブ経営とかマネジメント、Jリーグやサッカー協会で仕事ができたらいいなって思っている。ドイツでは協会に選手が入って選手ファーストで強化している。日本のサッカー界も現場だけではなく、そういう場にも引退した選手が入って活躍していけるようになれば、もっと日本サッカーも変わっていくかなと思うからね」

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