橋岡大樹が放ったインパクト。20歳の反骨心が低迷レッズを救う (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 しかし、この日の橋岡は違った。

「自分は攻撃が苦手と言われていますけど、ビビらずに積極的にやっていけば変わるんじゃないかなと。そこを挑戦してみた結果、シュートを打つ機会が多くなったし、いいきっかけになったと思います」

 守備だけの選手だとは思われたくはない。その反骨心が、この重要な試合での躍動を生み出したのだろう。ビビらずにやり切るというメンタルの強さも、橋岡のストロングポイントと言えるかもしれない。

 まだ橋岡がユースに所属していた頃、一度だけ話を聞いたことがある。高校1年生の冬、トップチームのキャンプに帯同した時の感想を聞くと、威勢のいい言葉が次々に返ってきた。

「まずまず、やれたと思います」
「競り合いと球際は、負ける気はしないです」
「ロングフィードも自分のよさだと思っているので、そこを見てほしいです」

 若さゆえの強がりにも聞こえたが、そのギラギラとした眼差しから、大物になる予感を感じとったのも、また事実だった。その勝気な姿勢こそが、この選手の魅力なのだろう。

 上海上港戦でも、前半に強引にシュートを放つと、味方の選手が不満げなジェスチャーを見せる場面があった。普通の若手なら、ここでひるんでしまうかもしれない。しかし、橋岡の場合はひと味違う。後半に同様のシーンが訪れると、そこでも再びシュートに持ち込んでいったのだ。

 もちろん、技術や判断の部分には課題もあるだろう。しかし、ガムシャラにやり切るという姿勢は、若さの特権であり、チームに勢いをもたらすファクターになり得る。

「もっともっと勝ちにこだわって、今はいいサッカーというよりも、勝ちにこだわってやりたい」

 そう意気込む怖いもの知らずの20歳には、底知れぬポテンシャルが秘められている。リーグで低迷するチームを救う、そしてアジアの頂を狙ううえで重要なキーマンとなるかもしれない。

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