イニエスタ頼みにおさらばか。フィンク神戸のスタイルが機能してきた

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 J1リーグ第26節、ヴィッセル神戸は松本山雅をホームに迎えた。17位と降格圏内の松本が勝てば、神戸を残留争いに巻き込み、より大混戦になる。両チームにとって勝ち点3が絶対に必要な試合だ。

 神戸はケガのアンドレス・イニエスタを欠くものの、6試合ぶりにダビド・ビジャをスタメンで起用。守備の堅い松本をどう崩すかに注目が集まった。

 試合開始から松本は3トップぎみとなり、神戸の最終ラインからのビルドアップを抑えにかかった。しかし、神戸は長短のパスをうまく使い、時には松本の3バックの外側にロングパスを通すなどして、徐々にペースをつかんでいく。

 すると前半13分、左サイドで酒井高徳の縦パスを受けたビジャが、得意の左45度から鮮やかなシュートを決めて神戸が先制する。

松本山雅戦で先制ゴールを奪ったダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸)松本山雅戦で先制ゴールを奪ったダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸) その後も神戸が主導権を握り、松本ゴールに迫るが、堅い守備を崩せず追加点が奪えない。松本も数少ないチャンスから、前半35分に中美慶哉がシュートを放つが、神戸GK前川黛也のファインセーブにふせがれる。前半はそのまま神戸が1-0で折り返した。

 後半に入っても、神戸は攻撃の手を緩めず何度もチャンスを作るが、松本の体を張った守備に追加点が奪えない。松本も得意のカウンターがうまくいかず、重苦しい展開となった。

 後半35分、神戸は中央左からセルジ・サンペールが右サイドの西大伍にパスを送ると、西は絶妙なクロスを中央に折り返す。それを途中出場の小川慶治朗がヘッドで押し込み、神戸が貴重な追加点を決めた。その後、アディショナルタイムに松本が1点を返すものの、神戸が2-1で逃げ切り、勝ち点3を奪った。

 この試合の主役はビジャだった。6試合ぶりのスタメン出場で先制点を決めたのはもちろん、前半40分には右からのクロスを胸トラップしシュートを打つなど、積極的にゴールを狙った。37歳とはいえ、決してサボることはなく、攻守に最後まで走っていた。さすがに後半途中からは運動量が落ちたが、彼の存在がイニエスタ不在を感じさせなかった。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る