2019.08.21

アジアでも無双。Fリーグ王者・
名古屋オーシャンズが覇権争いをリード

  • 河合拓●文 text by Kawai Taku
  • photo by Kawai Taku

 この優勝は、アジアのフットサル史においても大きな意味を持つものだろう。一大会でイラン王者が2度も同じ相手に敗れたことはなく、日本の力が2016年のフットサルワールドカップで世界3位に輝いたイランに近づいたことを意味する。ただし、今大会のメス・サンガンには前回大会で中心選手として活躍したイラン代表選手が数名欠けていた。現在、イランでは「海外クラブでプレーした選手はすぐに国内リーグでプレーできない」という措置をとっており、トッププレーヤーの国外流出を防ぐ流れにある。だが、AFCU-20フットサル選手権に続き、今大会もタイトルを日本に奪われたことで、そうした措置を撤廃し、来年の大会に向けて最強チームを編成してくる可能性が高い。

大会MVPを獲得した吉川智貴(写真左)と、得点王の清水和也(同右) 大会MVPには、名古屋のFP吉川智貴が選出された。「ゴールゲッターのポジションでもないので、こういう賞はなかなかいただけない」と吉川は話したが、全6試合を終えてノーゴールの選手が受賞したのは異例とも言える。もっとも準決勝で2ゴールをアシストするなど多くの得点を演出し、名古屋の代名詞であるハイプレスの体現者として、プレーでチームをけん引してきた存在感は、MVPにふさわしいものであった。

 また、大会得点王にはタイ・ソンナムへ期限付き移籍していた清水が10得点を挙げて選出されている。準決勝の名古屋戦ではボールの供給源を抑えられたこともあり不発に終わったが、3位決定戦では反撃の1点目、決勝点、ダメ押しゴールと3つのゴールを決めてチームを3位に導いた。キャリア初のAFCフットサルクラブ選手権を終えた清水はスペインへ渡り、昨季LNFS(スペインフットサルリーグ)準優勝のエルポソに合流して、トップチーム入りを目指していく。

 過去のAFC主催の大会でも、日本代表が大会を制し、木暮賢一郎(現フットサル女子日本代表監督)が大会MVP、大会得点王に輝いたことはあった。だが、今大会ほど多くの局面で日本が際立った大会は稀有である。3年前、ワールドカップ予選を兼ねたAFCフットサル選手権ウズベキスタン2016で、W杯出場枠内の5位までにも入れずにW杯連続出場の記録が3で途絶えた日本。だが、次大会のフットサルワールドカップリトアニア2020の予選が始まる直前に明るい話題が多くなってきた。

 金メダルを胸に下げた西谷良介は「メス・サンガンの選手たちの表彰式での悔しそうな姿を見て、イランがまたさらに力をつけてくることを確信しました。今後も彼らを上回れるように、さらに圧倒的な点差をつけられるように、これに満足せずに成長を続けたい」と語った。こうした向上心をどれだけ持ち続け、発展し続けることができるかで、アジアの覇権争いの行方も変わってくるだろう。

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