浦和・橋岡大樹はプジョルを目指す。東京五輪出場へ「泥臭く」

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

 昨シーズン、高卒1年目にして浦和レッズのレギュラーポジションを確保したDFの橋岡大樹。さらなる飛躍が期待された今シーズンは、4月に負ったふくらはぎのケガの影響もあり、U-20W杯などの主要な国際大会を欠場することになった。それでも、飛び級で各世代別の代表入りを果たしてきた"ミスター飛び級"には、東京五輪でも主力のひとりとして大きな期待がかけられている。

 橋岡の代名詞でもある高い身体能力は、彼の華麗なる血筋に起因する。走り幅跳び日本選手権を制した橋岡優輝は従兄弟で、叔父の橋岡利行さんは棒高跳びの元日本記録保持者。父・和正さんはドラフト候補に名が挙がった野球選手であり、母の深雪さんも陸上の短距離選手だった。

 そんな"アスリート一家"で育った橋岡のプレーは、Jリーグで日に日に存在感を増している。「ケガが僕を強くしてくれました」と打ち明ける期待の新星に、自身のキャリアや東京五輪への思いなどを聞いた。

東京五輪出場を目指す、浦和レッズの橋岡(写真:(C)URAWA REDS)東京五輪出場を目指す、浦和レッズの橋岡(写真:(C)URAWA REDS)――昨シーズンはルーキーながらリーグ戦で25試合に出場しましたが、振り返っていかがですか?

「最初はなかなか試合に出られず、『なぜ試合に出場できないのか』ということを考えました。ユースや世代別の代表でもずっとCBでやってきて、このポジションへの愛着はあったんですが、『試合に出なければ成長できない』とも強く思っていた。だから、(オズワルド・)オリヴェイラ元監督に『(ポジションは)どこでもいいので試合に出たい』と話したんです。

 すると『右のWBに挑戦してみないか』という打診があって。そうして出場機会を得たあとは、とにかくガムシャラで、あっという間にシーズンが終わった感じです。(J1のデビュー戦である)昨シーズンの第7節の神戸戦で、自分のやれる部分と課題は認識できました。自信があった空中戦やスピードの部分は、『上でも負けない自分の武器だ』と。一方で、オフェンスの部分は改善しないと通用しない。課題のほうが目立つシーズンだったので、満足も納得もしていませんでした」

――ユース代表でもCBが主戦場でした。現在はWBやSBでもプレーしていますが、ポジションをサイドに移して大変だった点は?

「正直、(CBとは)ほぼすべてが違います。WBやSBはすごく難しいポジションで、ピッチ内で多くの要素を求められるんです。僕の場合は、先ほども言ったように攻撃参加の面で苦労していますね。(浦和のチームメイトに)『守備は100点だけど攻撃は0点』とイジられることもあるくらいです(笑)。

 ただ、将来的なことを考えると、今の経験は必ず今後のサッカー人生で生きると思っています。僕のサイズ(182cm)で、世界の屈強なFWを相手にCBとして戦うのは難しい面も出てくるでしょうし、自分の可能性を広げる意味でもサイドでプレーする経験は必要です。世界的に見てもCBとサイドを両方できる選手は希少で、そういった選手の需要は高い。もちろん、その挑戦が甘くはないことも理解しているつもりです」

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