サンフレッチェは若手台頭&大黒柱復活。広島のこれからが面白い (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「跳ね返すところでは、今日はすごくいい対応ができたと思います。放り込んできてくれて、ありがたかった。自分のストロングが出せたと思います」

 そう笑顔を見せる23歳は、「まずは守備のスペシャリストにならないといけない。もっと声を出すプレーを意識して、守備陣の中心になっていきたい」と、さらなる高みを見据える。求められるビルドアップは改善の余地が残されているが、FC東京の強烈なFW陣を封じ込めたその守備力は、大器の予感を漂わせていた。

 そして何より、広島にとって大きいのは、青山敏弘の復活だ。今年1月のアジアカップで負傷した大黒柱は、半年以上にわたってリハビリ生活を強いられていた。

 満を持して復帰したのは、8月3日の札幌戦のこと。まだフル稼働は望めないが、着実に出場時間を延ばし、このFC東京戦でも57分からピッチに立っている。

 青山が入ると、広島のパスワークが一気にスムーズさを増した。縦だけでなく、幅を使った攻撃も増加。61分の柏の先制点も、青山のサイドへの展開が起点となっている。

 もちろん、まだまだ本調子とは言えない。パス出しやボールを受けるという能動的な動きに違和感はなかったが、相手の動きに対応する守備時の反応は物足りなかった。それでも、この男の特長はやはり攻撃面にある。指揮官も青山に対する期待の大きさを語っている。

「できるだけ多くの時間を使いたいが、(ケガが)ぶり返すことだけは避けたい。(今日も)彼からのパスがチャンスになるとは思っていた。どのタイミングで入れるか。前半から入れられる状況だったが、彼の状態を考えれば、あそこまで伸ばさないといけなかった」

 パス1本で試合を動かせるこの司令塔をどう活用していくかが、城福監督にとって今後のテーマとなるだろう。

 また、青山の存在は現状のレギュラー陣にも刺激を与えている。同じボランチのポジションを務める川辺も危機感を口にする。

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